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炒飯を作っているオヤジの動きはなぜ美しいのか(後編)

OJiM「Part4に出てくる長めの英文を聞き取るのが苦手だって言ってたよね」
優子「単語は聞き取れてるんだけど、もやもやして何かスッキリしないまま、英文が頭から抜けてっちゃう感じなんです」

I wanted to let you know that someone from the maintenance department will be inspecting the plumbing in the building tomorrow.

オ「公式問題集Vol.5に出てくるこんな英文でしょ」
優「知らない単語は無いからこうやって読めば分かるんですけど、これを音声で聞くと、何だか聞き取れないんですよ」

オ「それは文の構造が分かっていないからだよ」
優「いや、構造は分かりますよ。だって、読めば理解できるんですから」

優子はペンを取り出して、S、V、Oなど文の要素や修飾関係の矢印を英文に記入しながら、動詞の語法や文の構造をオジムに説明した。

オ「素晴らしい。完璧だ」
優「えへへ、褒められちゃった」

オ「でも、それを聞きながら、文の途中で予測できてる?」
優「文の途中で?それは無理ですよ。最後まで文が完成しないと」

オ「リスニングが出来ている時っていうのは、無意識のうちに次に聞こえるであろう単語を予測しながら聞いているんだよ。例えばこの例文だと、"I wanted to let"まで聞こえた瞬間に次は、人、動詞の原型が聞こえるかもっていう予測が出来るよね」

I wanted to let (人、組織) (動詞の原型)、、、、、

優「確かに、letの語法からするとそうですよね」
オ「それを待ち受けるように聞き続けていると、"you know"が聞こえてくる」

優「きたーーー!って感じですか」
オ「そうだね。そして"know"は他動詞なので、次は目的語を待ち受けるようなキモチで聞き続けていると、、、」

優「あっ、"that"が聞こえてくるので、thatに導かれる名詞節が予測出来ます」
オ「ビンゴ!そして"someone"が聞こえてくる。これは主語だから、次に動詞の要素が来るだろうって待ち構えているとfromが来ちゃう。この"from"は"somenoe"を説明している飾りだから、それはそれとして聞いておいて、引き続き動詞を待ちうけていると、、、」

優「助動詞の"will"きたーーー!そして、本動詞にあたる"be inspecting the plumbing"を聞き取ったら文の骨格は完成ですね」
オ「後はどうせ飾りだから、テンションを下げていても聞き取れるはずだよ」

優「なるほど、ちょっと感じが掴めてきました。これが無意識のうちに、しかも瞬間的に出来るようになれば、長めの英文も聞き取れるようになるんですね」
オ「今日の優子は冴えているね!じゃあ、」

優「あっ、ちょっと待ってください!オジムさんの次の行動も完全に予測出来てきました」
オ「はあっ?」

優「今日のお店のセレクションですけれど、おしゃれな店ではなくて、敢えてこんな平凡な中華料理屋さんを選んだのは私の心理的ハードルを下げるため」
オ「いや、僕はただ単に美味い餃子が、、、」

優「そう、このめちゃくちゃ美味しい炒飯がサプライズ演出だったんですね。そして、店長との親しげな会話をすることで、その店の常連であることを私にアピール」
オ「いやいや、、、」

優「インタラクティブな会話で盛り上げておいて、私が『どんなトレーニングをしたらそんな予測的なリスニングが出来るようになるんですか~』って質問をしたところで、『じゃあ、もう一軒行かない?』って言うつもりだったんでしょ?」
オ「それは深読みし過ぎでは」

優「お腹空いてきちゃった、すいませ~ん、炒飯大盛りで!餃子も二枚!」
オ(優子のキモチは全く予測不可能だ・・)

(この項終わり)

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炒飯を作っているオヤジの動きはなぜ美しいのか(前編)

「うぁ~、作ってるところを見てるだけでも美味しそうね!」

中華料理屋のカウンターで優子は思わず声を上げた。こじんまりとしたその店の炒飯は絶品で、その味もさることながら、カウンター越しに見られる無愛想な店主の機敏で無駄の無い動きは芸術的でさえあった。

OJiM「一人前の炒飯を作るのにどれくらい時間が掛かってると思う」
優子「えっ?オジムさんは分かるんですか??」

オ「生卵投入から完成まで、1分32秒だよ」
優「本当ですか?」

オ「じゃあ測ってみてごらん。オヤジ、炒飯1人前作ってよ」

店主が再び炒飯を作り始めた。生卵を投入すると、優子は自分の腕時計の秒針を確認。ご飯、塩コショウ、調味料、ねぎをいつも通りの順番で、いつも通りのタイミングで投入、中華なべを大胆にかつ正確に煽り、炒飯が完成した。

優「うそ~、1分32秒、信じられない!」
オ「手順は全く同じ、無駄な動きが無いから時間がぶれないんだ」

優「身体がもう完全に覚えこんでるんですね」
オ「そう自動化だね。でも注意深く観察してみると、単純に動きが連続して繋がっているわけではないんだよ」

優「どういう事ですか?」
オ「1つ1つの動きが連動しているんだよ。次の手順が始まる前に、前の手順が終わる前から、準備が始まっている。例えば、ご飯を投入してある程度卵と混ざり合った頃から、右手は次に塩を投入する準備を始めてるんだ。そして、塩を投入する直前には少し大きめに中華なべを煽ってご飯を平らに広げて、塩が満遍なく混ざるように工夫をしている」

優「つまり、一歩先の事を予測しながら動作をしているから、無駄なく連動した動きが出来るんですね!」
オ「素晴らしい気づきだね。僕もある時、この店でその事に気づいた瞬間、それはリスニングでも同じだなと思ったんだ」

怪訝な顔の優子を尻目に、オジムはTOEICの模試本を取り出し解説を始めた。

(続く)

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セカンドウィンドが吹くまで

優子「音読ってどれくらいやればいいのかな?」
OJiM「自分が気が済むまでやればいいんじゃないの?」

優「それはそうなんだけど、OJiMさんが言っている音、語彙、文法中枢が働いた状態になるには何回くらい音読をすればいいのかなと思って」
オ「セカンドウィンドって知ってる?」

優「ジョギングをすると最初は息苦しくても、しばらくすると汗をかいてきて、ふっと体が楽になる瞬間の事ですよね。私はだいたい15分くらい走るとセカンドウィンドを感じます」
オ「今度一緒にジョギングしようよ。優子と一緒にセカンドウィンドを感じてみたいな~」

優「話を音読に戻してください」
オ「あ、ゴメン。音読にもセカンドウィンドみたいなのがあると思うんだ」

優「分かります。最初のうちはスムーズに読めないし、読めたとしても、ただ読んでいるだけで、頭の中を英語が通り抜けてしまうような感じなんです」
オ「その状態だと、頭の中で音と語彙は処理できているけど、文法が処理されていないはずだよ」

優「そして何回か繰り返して音読をしていると、何となくですけど、すっきりと理解が出来るようになる事があります。それが音読のセカンドウィンドですね?」
オ「その通り。セカンドウィンドが吹いた後は、頭の中で音、語彙、文法が三位一体になって英語を処理出来ている。つまり、セカンドウィンド以降の音読こそが本当に有効なトレーニングだという事だね」

優「それってジョギングも同じですよ。セカンドウィンドが吹いてくる頃になると汗をかいてくるのは、有酸素運動が始まって脂肪が燃焼し始めたサインなんです。ダイエットに有効なジョギングはそこから始まります」
オ「じゃあ、最初の優子の質問に戻って、音読はどれくらいやればいいと思う?」

優「単純に回数じゃないという事ですね。いかに早くセカンドウィンドに到達するか、そして、そこからどれくらい音読を続けるかが大事ですね」
オ「セカンドウインドに早く到達するにはどうしたらいいと思う?」

優「棒読みの音読をいくら繰り返してもダメでしょう。あっ、それで、キモチを込めた音読なんですね!」
オ「今日の優子はさえてるね!僕と優子の関係にもセカンドウィンドが吹いてきたんじゃないかな~」

優「そんな気配は全然ありません。最近はももクロちゃんのことばっかり考えてるみたいだから、すきま風が吹いてきているんじゃないですか」
オ「ううっ、、、とりあえずビールで乾杯しよう」

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優子はなぜPart2の英文が聞き取れないのか?(その2)

OJiMは優子の左側の前頭葉を指で押しながら話始めた。

オ「優子の聞き流しリスニングでは文法中枢が働かないんだよ」
優「はあっ?」

オ「前に記事で説明したように、言語を理解している時には、脳の中の音、語彙、文法を担当している部分が働いているんだ。その中で文法を担当している部分を文法中枢と言って、ここの奥にあるんだ」
優「それとPart2はどう関係してくるんですか?」

オ「Part2がスムーズに聞こえた時というのは、音、語彙、文法中枢が協力し合って時間内に処理出来たということだよね。逆に言えば、Part2が聞き取れるようになるためには、音、語彙、文法中枢が同時に働くようなトレーニングをすればいいよね?」
優「私がやっている公式問題集を繰り返し聞くのではダメなんですか?」

オ「ダメではないよ。繰り返し聞くことで段々慣れてきて聞こえるようになる英文もある。でも、いつまでたってもすっきりと聞こえるようにならない英文もあるよね。自分にとって苦手な英文というか」
優「あります。私の場合は間接疑問文とか、受動態とかが苦手です」

オ「その自分にとって苦手な英文こそが、音は取れるけど意味が取れない英文だよ。その時の脳は、音と語彙は処理できているけど、文法が処理が追いついていないんだ。公開テストで出題されたら、聞こえても、頭から抜けていってしまうような感じなんじゃないかな」
優「そうですね、全く聞き取れていないんじゃなくて、何となく音は頭に残っているから、もどかしいんです。そして、思い出そうとしていると、次の音声が始まっちゃうみたいな」

オ「文法中枢が働いていない苦手な英文をいくら繰り返し聞いたとしても、文法中枢を鍛えることにはならないよね?」
優「じゃあ、どうすれば鍛えられるんでしょうか?」

オ「文法中枢は無意識のうちに働いているので、それを意識的に働かせるのは難しい。でも、僕はシャドウイングと音読を効果的に行うことで自然に働かせることが出来ると思っているんだ」
優「確か昔のブログに書いてましたよね。あー、なんか難しい話をしていたら頭が疲れてきちゃったな」

オ「じゃあ、気晴らしに映画観に行こうよ。面白い映画館見つけたんだ」
優「その前に、頭から手を離してくれませんか?」

(この項終わり)

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【過去記事】
音は取れても意味が取れない英文(その1)
音は取れても意味が取れない英文(その2)
音は取れても意味が取れない英文(その3)

*スミマセン、上のリンクが間違っていたので修正しました。

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優子はなぜPart2の英文が聞き取れないのか?(その1)

OJiM「7月のアビメはどうだった?」
優子「リスニングがボロボロでした、オジムさんは?」

オ「Part1、2は久々にパーフェクト、Part4で落したみたいだね」
優「私はL1が悪かったので、たぶんPart2の後半が出来ていないみたいです」

オ「間接的な応答とか、長めの平常文なんかは難しいからね」
優「スクリプトを確認してみると、大して難しい英文ではないんですよね」

オ「じゃあ、音が聞き取れていないのかな?」
優「そう思って、Part2をディクテーションをしてみたんですが、、」

オ「ほぼ聞き取れているんでしょ?」
優「はい、ところどころ冠詞を聞き漏らしていますけどほぼ聞き取れます」

オ「音は取れる、文の意味も分かる、でも正解を選べないのはなぜかな?」
優「やっぱり、正確に聞き取れてはいないからじゃないでしょうか?」

オ「おっ、いいこと言うね。じゃあ、普段どんなトレーニングをしてるの?」
優「毎日、公式問題集の音声をひたすら繰り返して聞いています」

オ「それが聞き流しになっていたらあまり意味ないよね」
優「へへ、正直言うと、ただ音声が頭の中を素通りしていってる気がします」

オ「筋トレでもそうだけど、強化したい部分を意識することが大切だよ」
優「Part2を聞き取るために私が意識しなきゃいけないのってどこですか?」

OJiMは得意げな表情で、優子に一歩近づいた。

優「キャーーー!どっ、どこ触ってるんですか!!」

(つづく)


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