TOEIC妄想小説 『夏の扉(その1)』

あの不思議な体験をしたのは、記録的な猛暑だった夏の日の午後だった。

ボクはユウコと公園のベンチでTOEICバトルゲームをしていた。自分が作ったパート5の問題をお互いに出し合って、正解を選ぶ対戦型ゲームだ。作った問題はスマートフォンに入れおくと、正解の判定やスコアのカウントは全てアプリが自動でやってくれる。

「今の語彙問題よく解けたね、難問だったのに」
「えへへ、文法的アプローチで解いちゃった」

「どういうこと?」
「だって直後に目的語を取れるのは他動詞のpreventだけなんだもん」

ボクは何の気なしに、以前からモヤモヤしている疑問をユウコに投げてみた。

他動詞って目的語を取れるから他動詞なのかな?それとも、他動詞だから目的語を取れるのかな?

ユウコは少し困った顔をしてつぶやいた。

「preventは他動詞って決まっているからよ」
「じゃあ、誰が決めたんだよ、誰がpreventは他動詞だって」

ボクがその言葉を口にした瞬間、ミンミン蝉の鳴き声が急にやんだ。そして全てのものが止まった。ブランコ、シーソー、そして太陽のゆらめきさえもが止まった。

この非日常な、そして非現実的な場面に遭遇しても、地面に映る木陰をみると「これはパート1に使えそう」などと考えてしまう自分が妙に可笑しかった。

しばらくすれば元の日常に戻るはずなので、そしたらまたTOEICバトルを再開しよう、などと気楽に考えていたのだけれど、事態は更に変化していった。ストップモーションの風景から徐々に色が消え失せていき、ついに真っ白になってしまった。

(たぶんつづく)

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